梅雨とシルクパジャマ

梅雨とシルクパジャマ

梅雨はジメジメとうんざりな季節。沖縄は梅雨明けが発表されましたが、九州から東北はこれからが梅雨本番。本格的な雨のシーズンとなり、気温も湿度も高い日が続きますので、体調に気を付けてお過ごしください。

そんな高温多湿の日本の梅雨ですが、シルクは梅雨に適した素材でもあるのです。ではなぜシルクが梅雨に適しているんでしょう?

シルクの吸湿性と放湿性

「吸湿性」とは空気中の「湿気」を吸収する性質です。似たもので「吸水性」がありますが、こちらは液体状の「水分」を吸収する性質。

「気体」の汗を吸収するのが「吸湿性」、「液体」の汗を吸収するのが「吸水性」です。

「吸湿」は湿気が繊維の内部に取り込まれる性質で、繊維の構造が関係するのに対して、「吸水」は液体が繊維と繊維の間に吸収される「毛細管現象」という現象なので、繊維の構造や生地の織編組織などが関係します。

 梅雨とシルクパジャマ

服の繊維は主に、「天然繊維」と「化学繊維」に分かれますが、ざっくり言ってしまうと、「吸湿性」は「天然繊維」にあって、「化学繊維」には無いか非常に低いものしかない。

化学繊維のスポーツウェアなどが汗を吸うというのは、「吸水性」のことなんです。

天然素材が吸湿する理由は、ウールなどの獣毛には「うろこ状のスケール(人の髪でいうキューティクル)」があり、シルクや綿には繊維間に隙間があることで、湿気を内部に取り込みやすい性質があるからなんです。

一方で化学繊維は、そのような構造がなく様々な工夫もされていますが、天然素材の吸湿性には及ばないのが現状。

「シルク」は「ウール」に次いで吸湿性が高く、夏の素材のイメージが強い「コットン」よりも蒸れにくい素材と言えます。

これは繊維の表面積が大きい順でもあり、コットンより表面積が大きいシルクの方が吸湿性も高くなっています。それもあり、吸収した湿気を逃がす「放湿性」もシルクはコットンの約1.5倍だと言われています。

そして、天然素材の良いところは、エアコンなどで外気が乾燥してしまっても、ある一定の水分率を保つ性質があります。なので肌が乾燥しにくいのです。化学繊維は水分率が低く、外気が乾燥すれば衣服も乾燥し、肌も乾燥しやすくなります。

 

シルクの快適な着心地と室内干し

吸湿をほとんどしない化繊に比べると速乾性は劣りますが、天然繊維の中ではコットンに比べてもシルクは乾きやすい素材。

梅雨に室内干ししてると、コットンが乾いてなくてもシルクは乾いていて、とても助かります。

では、速乾性が魅力のポリエステル(化学繊維)とシルクとで、着心地の面ではどうでしょうか。

スポーツウェアやアウトドアウェアには、吸水速乾ポリエステルというものがありますね。まず先にも書きましたが、ポリエステルなどの化学繊維は汗を「吸湿」ではなく「吸水」します。

汗をかくと繊維と繊維の間に吸い上げられますが、体から蒸発するような湿気を、繊維の内部に「吸湿」する作用はほとんどありません。蒸れて液体の汗になり「吸水」されるのですが、湿気を吸収しないので蒸れやすく、濡れた衣類が肌に触れて不快感を与えます。 

一方で、シルクなどの天然繊維は体から蒸発する湿気を吸湿するので、衣類の内側は湿気が少なく快適な状態を保ちます。

もちろんシルクも大量に汗をかくと、吸湿だけでなく吸水をするので、濡れた衣類が肌に触れると不快に感じます。

つまり、人の体からは常に汗が蒸発しているので、吸湿しないポリエステルなどの化学繊維は蒸れやすく、外気が乾燥すると肌も乾燥しやすい。シルクは蒸れにくく乾燥もしにくいという訳です。

 

日本の梅雨にシルク

「梅雨にシルク」というイメージはあまり無かったかもしれませんが、日本の着物の素材として長く着られてきたのですから、日本の気候に合わないはずはありませんよね。高温多湿な日本の梅雨を、シルクでぜひ快適にお過ごしください。

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