良質な睡眠は生活の質を向上させる上で欠かせない要素です。しかし、忙しい日常やストレスから、多くの人が睡眠に悩んでいます。
そこで、食べ物と睡眠の関係を探り、質の高い睡眠を促進する効果的な食材についてご紹介します。
睡眠と食べ物の関係性
食べ物と睡眠は密接に関連しています。特定の栄養素は、脳内の物質やホルモンの産生を促進し、睡眠の質を向上させる助けとなります。
特に、トリプトファン、GABA、グリシン、マグネシウムは睡眠に重要な役割を果たす栄養素です。
トリプトファンと快眠の促進
トリプトファンは神経伝達物質であるセロトニンの原料となる必須アミノ酸です。
脳や体を目覚めさせて活動モードになり、夜になると、メラトニンという睡眠ホルモンに変化します。
アミノ酸とは?
タンパク質を構成する成分です。自然界では約500種類のアミノ酸が見つかっています。
人の体は、水分約60%、タンパク質約20%、脂肪や糖など約20%でできていて、そのタンパク質を構成しているのが、20種類のアミノ酸です。
体の中で作ることができない必須アミノ酸が9種類と、体の中で作ることができる非必須アミノ酸が11種類あります。
必須アミノ酸 |
非必須アミノ酸 |
イソロイシン |
チロシン |
ロイシン |
システイン |
リジン |
アスパラギン酸 |
メチオニン |
アスパラギン |
フェニルアラニン |
セリン |
トレオニン(スレオニン) |
グルタミン酸 |
トリプトファン |
グルタミン |
バリン |
プロリン |
ヒスチジン |
グリシン |
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アラニン |
|
アルギニン |
セロトニンは幸せホルモンと呼ばれています。
セロトニンは他の神経伝達物質であるドーパミンやノンアドレナリンなどをコントロールし、精神(喜びや恐怖など)を安定させる働きがあります。
セロトニンが少ないと精神を安定できず、不安な気持ちになったり、攻撃的になるだけでなく、鬱やパニック障害を引き起こすと言われています。
トリプトファンは摂取した後に、太陽光を浴び目から光が入ることでセロトニンが合成されるので、朝日を浴びることがとても重要です。
そして、トリプトファンは体内で作り出すことができないため、食べ物から摂取する必要があります。
【トリプトファンを多く含む食材】
- 魚介類(にしん・かずのこ・鮭・削り節・たたみいわし・煮干し)
- 大豆製品(凍り豆腐・湯葉・きな粉)
- 乳製品(牛乳・パルメザンチーズ・脱脂粉乳)
- 肉類(ビーフジャーキー・ヒレ肉)
- ナッツ類(パンプキンシード・亜麻仁・カシューナッツ・ゴマ)
- 穀類(玄米・米・小麦)
- 卵
【トリプトファンの摂取量目安】
成人の1日当たりの必要量は、体重1㎏あたり、4.0㎎/㎏/日。
体重50㎏の成人の場合だと、1日に必要なトリプトファンの摂取量目安は200㎎/日です。
(厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」による)
【一緒に接種するといい食材】
◆炭水化物(ごはんやパン)
糖質を摂取しインスリン分泌が増えると、血液中に取り込まれたトリプトファンを脳へ移動させる助けとなります。
◆ビタミンB6(とうがらし・米ぬか・にんにく・バジル・パセリなど)
トリプトファンの合成を助ける効果があります。
ビタミンB6の摂取量目安は、1日当たり、成人男性で1.4㎎、成人女性で1.1㎎です。
(厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」による)
GABAと不安解消
GABAはアミノ酸の一種で神経伝達物質として機能し、脳の興奮を抑制する役割があります。
睡眠に役立つ理由は、交感神経を抑えて副交感神経を優位にし入眠を助けるからです。
GABAの効果によって、不安や緊張を和らげ、リラックスした状態へ導くことができます。
【GABAを多く含む食材】
- 漬物(キムチ・たくあん・奈良漬け)
- メロン
- ミニトマト
- じゃがいも
グリシンと睡眠の深さ
グリシンは非必須アミノ酸の一種で、肌のコラーゲンに多く含まれるアミノ酸です。
タンパク質を構成するだけでなく、脳内の神経伝達物質としても機能し、睡眠の質を向上させる助けになります。
グリシンは血管を拡張させ、体温を上昇させることで体内の熱を放出し、深部体温を下げる効果があり入眠を促進します。
また、睡眠の質を高める効果もあり、日中の疲労感や眠気が軽減するということも実験で明らかになりました。
- 自然な入眠を導く。
- 質の高い深い睡眠をもたらす。
- 目覚めが良くなる。
- 日中の疲労感や眠気が減る。
【グリシンを多く含む食材】
- ゼラチン
- ホタテ
- するめ
- エビ
マグネシウムと筋肉の緩和
マグネシウムは必須ミネラルの一つで、骨を形成したり、体内の酵素を活性化し、生命の維持に必要な代謝を助ける機能を持っています。
そして、セロトニンの合成にはマグネシウムが必要です。マグネシウム不足は、セロトニンの分泌量減少につながります。
不眠を招くだけでなく、マグネシウムはビタミンB群の働きにも関わっているため、不足するとビタミンB群の働きを低下させ、イライラやだるさ、鬱、高血圧や不整脈などを引き起こす可能性もあります。
【マグネシウムを多く含む食材】
- あおさ
- 青のり
- てんぐさ
- わかめ
- 米ぬか
- 昆布
- ひじき
その他の睡眠向上のポイント
食べ物だけでなく、睡眠の質を向上させる方法を合わせて取り入れることで、高い睡眠効果を得られます。
まとめ
睡眠の質向上に食べ物は密接に関連しています。これらの食材を意識的に取り入れることで、快適な眠りを手に入れることができます。
ぜひ睡眠の質を向上させ、より充実した日々をお過ごしください。