「暮らしの道具」としての シルクパジャマ
デザインで大切にしていること
SUBEのデザインは一見いたって普通のパジャマです。ただ、デザインの細部一つ一つに意味や機能があります。
それは大事な睡眠時間を快適に過ごすための「暮らしの道具」としてデザインしているためです。
例えばトップスのポケット。寝る時なので「何を入れるの?」と思うかもしれませんが、物を入れたい人もいるので、ポケットが付いているパジャマが多いです。
割と一般的には左胸に一つか、ウエスト(腰)部分に付けられていたりと、なんとなく付いています。
SUBEのパジャマは左右胸にポケットを二つ付けました。ポケットがある部分は生地が二重になっていることに意味を持たせています。
ポケットがあり二重になっていることで、胸元をカバーする役目を付加しました。ナイトブラなど下着を付けている時はいいのですが、何も付けていない時は透けが気になるなど、なんとなく不安なもので、ポケットがあると少し安心感が生まれます。もちろん物も入れてください。
他には、シルクという素材の良さを邪魔しないための仕様があります。
シルクは摩擦が少なくとても肌触りの良い素材です。この良さを最大限活かすためには、肌触りの良さを邪魔する要素を取り除く必要があります。
例えば、生地端はロックミシンでかがるのではなく、袋縫いや伏せ縫いという生地端を包む縫製手法にすること。
なぜロックミシンを使わないかと言えば、ミシン糸というのは縫製中に強い抵抗がかかるため、切れないための強度が必要で硬いからです。
シルク生地がせっかく柔らかくても、このロックミシンでかがった部分が硬くなり、お肌の弱い方にとっては、擦れて気になると感じられる方もいらっしゃいます。
手間はかかりますが、見た目も肌当たりも良い仕上がりになるので、シルクパジャマではよく袋縫いや伏せ縫いを用いります。
他には、「ブランドネーム」や「洗濯ネーム(洗濯取扱い絵表示)」をパジャマの内側(肌側)に付けないこと。洗濯ネームはポケットの中、ブランドネームはポケットの横に付ければ肌には触れません。
このブランドネームもちょっと一手間かけました。このようなブランドの織りネームを織る機械には「シャトル織機」「レピア織機」という2種類の織機があります。
SUBEのブランドネームは「レピア織機」で作成しています。でも実は「シャトル織機」の方がブランドネームの耳部分まで織られていて、端が肌に触れても痛くない特徴があるのです。
「レピア織機」はブランドネームの端をヒートカットで処理するため端が硬く、肌に触れる物には適していません。
ではなぜ「シャトル織機」でないのか。「シャトル織機」に比べ「レピア織機」は価格も高いのですが、繊細で高級感ある仕上がりに魅力があります。シルクパジャマの雰囲気にマッチするのは断然「レピア織機」だったのです。
なので、この「レピア織機」を使って、肌に触れても柔らかい肌触りにするため、手間はかかりますが、フワフワのウーリー糸でブランドネームの端をかがる方法をとりました。
洋服によく使われる洗濯絵表示タグは、シルクパジャマの生地よりもハリがあって少し硬く、ポケットの中とはいえガサガサするのが気になります。なのでタグの素材を下着に使われている柔らかいタイプのものにしました。この柔らかさだとポケットの中にタグがあっても気付きません。
衿はコンバーチブルカラーです。釦を全部閉めても、第一釦を開けても衿が落ちついて綺麗に見えるように設計しているので、首元が寒い時には閉め、暑い時には開けたりと、2デザインの衿を楽しめます。
また、衿元が深く開くと家であっても気になって落ち着かないです。ましてや旅行や入院時にはなおさら気になります…。
なので、第一釦を開けた時も深く開き過ぎないように釦位置を設定しています。

ウエストのゴムは2段で少し巾広めにしています。こうするとウエストにゆとりがある場合でもズレ落ちにくくウエスト位置で落ち着くからです。ゴムが伸びてしまったり、サイズを調整したい場合は、左脇にある取替え口からゴムを取り出すことも可能。
SUBEのパジャマは、街着にも使えるように意識しているので、カジュアルダウンし過ぎないように、ウエスト調整の紐は内側に付けています。
誰にも気付いてもらえなさそうな、細かな部分の機能性なんかをちまちま考えることが私は好きです。小さなブランドだからできる事も多々あるので、今後も色々ブラッシュアップしていきたいと思います。